Q&A

     

産科に関する質問

       
       

Q1.分娩予定日について教えてください。
A.
排卵日から266日後を分娩予定日としていますが、通常は最終月経開始日を基準にして計算します。 現在ではコンピュータにて正確に最終月経開始日から280日目を計算していますが、 簡便な方法として最終月経の開始日の月数に9を加え、日数に7を加えればおよその予定日が分かります。
例)最終月経開始日3月20日の場合
  3月の3+9=12  20日の20+7=27  すなわち12月27日が分娩予定日となります。
例)最終月経開始日が10月25日の場合
  10月の10+9=19  25日の25+7=32 19月32日となりますが、月は12月まで日は30日までで繰り越し分を調整します。19月は19-12=7月、32日は32-30=2日で月が繰り上がりますので、8月2日となります。
基礎体温にて排卵日が明らかな場合や超音波計測値で分娩予定日の補正が必要な場合もありますので、 必ず妊娠初期に病医院を受診し正確な分娩予定日を決める必要があります。
当院では、超音波計測値にて分娩予定日を最終的に決定後に妊娠カレンダーを差し上げています。これを見れば、現在の妊娠週数がすぐに確認できます。

 

Q2.妊娠する前に葉酸接種が必要な理由は?
A.
産婦人科診療ガイドライン産科編2014では、以下のように説明することになっています。
1)市販のサプリメント類によって1日0.4mgの葉酸を妊娠前から摂取すると、児の神経管閉鎖障害発症リスクが低減することが期待できる。
2)神経管閉鎖障害児の妊娠既往がある女性が、医師の管理下に妊娠前より1日4mg(5mg錠)の葉酸を服用した場合、同胞における発症が低減することが期待できる。

神経管閉鎖障害は先天性の脳や脊柱に発生する癒合不全のことで、無脳症、脳瘤、二分脊椎等の病気があります。
神経管の閉鎖は妊娠6週末で完成するため、妊娠に気づいてからの摂取では遅すぎます。
妊娠1か月以上前からの摂取が必要です。
葉酸は熱に弱く調理により失いやすいため、食事からの摂取では不十分です。
それを補うためサプリメントをお勧めしていますが、ビタミンAを妊娠初期に大量摂取すると先天異常の発症が報告されており、 許容上限摂取量は5000IUとされていますので、ビタミンAの過剰摂取には注意を要します。

葉酸パンフレット(日本医療研究開発機構 成育疾患克服等総合研究事業)

 

Q3.切迫流産と診断されました。流産するのではないかと心配です。
A.
切迫流産の症状として、少量の性器出血、軽度の下腹部痛、恥骨上部の疼痛、腰痛、下腹部緊満感などがあります。
全妊婦の約20~25%にこれらの症状が出現しますが、 最終的に流産に至る頻度はその半数の10%程度となります。
また枯死卵や稽留流産などの無症状のまま流産に至る例もあり、これを含めると全妊娠の約15%が流産することが知られています。
流産の原因は多岐にわたりますが、その内の過半数は胎児染色体異常などの胎児側の要因です。
胎児因子による流産は自然淘汰による不可避の流産と考えられ、治療法はありません。
即ち、流産を確実に回避する治療法はなく、安静や薬剤による治療を積極的に行わず経過観察することが切迫流産の基本的な対処法と考えます。
産婦人科診療ガイドライン産科編2014においても、CQ206に「流産予防効果が確立された薬物療法は存在しないと認識する。」と記載されています。
当院ではこのような理由から、妊娠初期に出血や下腹部痛があっても安静の指示や薬物による治療は行っていません。

 

Q4.流産のため手術が必要と言われました。できれば受けたくありません。
A.
結論から言うと、流産手術は必ずしも必要ではありません。
流産後の妊娠成分の子宮内遺残に伴う子宮内感染を回避する目的で、妊娠継続が不可能な流産の診断が確定すれば速やかに流産手術(子宮内容除去術)を行うのが従来の一般的な対処法でした。
しかしながら流産手術に伴う子宮穿孔による内臓損傷などの重篤な副作用も稀にあるため、近年では手術的操作を避けて自然排出を期待する待機管理について多くの報告がなされています。
これらの報告を総括した結果、初期の不全流産や自覚症状を伴わない枯死卵や稽留流産においては、待機管理も治療の選択肢のひとつと考えられ、かならずしも流産手術を受ける必要はないと考えます。
なお、待機管理の場合は自然に流産が進行しますので、出血の増量や塊の排出、下腹部痛は必ずありますし、これらの症状がいつ発現するかの予測は不可能です。
当院では、仕事をされている方などで急激な下腹部痛や多量の出血が起きては困る場合には、流産手術を行うようにしています。
手術に対する不安感の強い方や気管支喘息などで麻酔合併症が予測されるような場合は、自然流産を待つことも可能です。
当院では、患者様の仕事や家庭の事情にあわせて治療法を選択しています。

 

Q5.腹帯を巻く必要がありますか?
A.
結論から言うと、腹帯をする理由はないと考えています。
当院では腹帯を着用する指導はしていませんので、妊娠5か月の戌の日に腹帯を着帯する行事もしていません。
しかしながら昔からのしきたりや風習も大事ですので、 妊娠5か月の戌の日にそれまで無事に育ったことの喜びとその後の無事な分娩を祈念してご家族でお祝いすることは意義のあることだと思います。
そもそも人間も動物ですので、腹帯の力を借りなくても妊娠維持や分娩ができる体になっています。
事実、日本以外の国では腹帯をしなくても、ちゃんと分娩しています。
妊娠5か月の戌(イヌ)の日に腹帯を捲く習慣は、日本独自のものです。
犬は軽いお産でたくさんの赤ちゃんを産むことより、安産を祈念して妊娠5か月の戌の日に腹帯を捲く習慣が出たようです。
あくまでも習慣で、医学的・科学的には腹帯により安産になる根拠はないと考えています。
1.胎児が大きくなりすぎないように、きつく腹帯を巻く必要があるか?
答えは必要ありません。
腹帯をきつく巻くと、大静脈といって背骨の横を通っている大きな静脈を圧迫することになります。
その結果、循環が悪くなり足の浮腫や静脈瘤(静脈が大きく膨らんで浮き出る状態)が出現します。
また大動脈も圧迫される結果、腎臓への血液の流れが減少します。
腎臓への血流を確保するために血圧を上げる必要が出てきますので、腎臓からアンギオテンシンという血圧を上げるホルモンが分泌されます。
その結果、母体は高血圧となり危険な状態となります。
腹帯をきつく巻くと胎児が大きくならないのは事実のようですが、これは胎盤への血流が悪くなり胎盤機能不全による発育障害の結果だと考えています。
腹帯をきつく巻くことは、むしろ母体にも胎児にも危険な状態と考えられます。
2.分娩後にお腹がゆるんで元に戻らなくなるので腹帯をきつく巻く必要があるか?
この答も必要ありません。
分娩時には、胎児を娩出するために骨盤の底の筋肉が弛んでいます。
そのような状態で腹帯をきつく巻くと、お腹の中の圧力が骨盤の底の方に集中しますので、骨盤底筋肉の回復が悪くなります。
その結果、尿失禁、痔、子宮脱などの原因となります。
いずれにしても、人間も動物である以上は自然に分娩やその後の妊娠に向けての回復ができる体になっていますので、腹帯の力を借りずに自然体で臨まれたらよいと思います。

 

Q6.妊娠中にインフルエンザワクチンの接種は可能ですか?
A.
産婦人科診療ガイドラインー産科編2014では、インフルエンザワクチン接種の母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いと説明し、ワクチン接種を希望する妊婦には接種する(推奨グレードB:勧められる)と記載されています。
すなわち、妊娠初期を含め妊娠週数を問わずワクチン接種は可能です。
妊婦がインフルエンザに罹患すると肺炎などの重篤な合併症を起こしやすいので、当院では積極的に妊娠中のワクチン接種を勧めています。
ワクチン接種後の効果が発現するまでに2~3週間かかりますので、10月~11月の時期での接種をお勧めしています。

 

Q7.防腐剤を含有したインフルエンザワクチンを接種しても大丈夫ですか?
A.
日本のインフルエンザワクチンにはチメロサール含有製剤と非含有製剤があります。
2016年度は季節性インフルエンザワクチンとして防腐剤(チメロサール)を含有していないワクチンが供給されないこととなりました。
チメロサールは有機水銀であるため、妊婦はチメロサール非含有製剤を選択する傾向がありました。
産婦人科診療ガイドライン2014 CQ102の解説には、「チメロサールを含んでいる製剤もその濃度は 0.004~0.008mg/mlと極少量であり、胎児への影響はないとされている。懸念されていた自閉症との関連は最近否定された。したがって、エチル水銀(チメロサール)含有ワクチンを妊婦に投与しても差し支えない。利用できる状況にあり、かつ妊婦が希望する場合にはチメロサールを含有していない製剤を接種するが、利用できない状況下(チメロサールを含有していない製剤入手まで時間がかかる)であり、かつ周囲でインフルエンザの流行がある場合にはエチル水銀(チメロサール)含有ワクチン接種を躊躇しない。」と記載されています。
当院では、チメロサール含有ワクチンも躊躇せずに接種することをお勧めしています。
妊婦のインフルエンザワクチン接種の見解はQ6.をご覧ください。

 

Q8.妊娠中や授乳中でも抗インフルエンザ剤は服用可能ですか?
A.
米国疾病予防局ガイドライン(2007年)では、抗インフルエンザ薬を投与された妊婦および出生した児に有害事象の報告はないと記載されています。
妊婦インフルエンザの重症化を予防する服薬の利益を考えれば、妊娠中に服用する利益の方が薬剤副作用の不利益より大きいと考えます。
産婦人科診療ガイドライン2014においても、感染妊婦・授乳婦人への抗インフルエンザウイルス薬剤投与は利益が不利益を上回ると説明すると記載されています。
授乳中の服用は、薬剤の児への母乳を介しての危険性と母乳栄養による利益を比較して考える必要があります。
米国疾病予防局では、抗インフルエンザ剤を服用しながらの授乳は可能としています。
また、母乳自体に新生児への感染の可能性はないとされています。
新生児への感染の危険性を少なくするために、頻回に手洗いしたりマスクを当てる必要はあります。

 

Q9.妊娠中の旅行は可能ですか?
A.
お腹の痛みや出血などの流産や早産の兆候がなければ、妊娠中の旅行は可能と考えます。
妊娠週数としては、妊娠12週から28週ぐらいまでが最も旅行に適していると考えます。
まず、「妊娠中は、血液が固まりやすい状態になっている。」ということに気をつけてください。
このため深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の予防対策が重要です。
長時間座席に座っている場合は、座ったままで足の上げ下げをするなど運動をする、適度な水分を摂取する、服装をゆったりしたものにするなどの注意が必要です。
また、航空機や鉄道を利用する場合は、立席しやすいように座席を通路側に確保して時々歩行するなどの工夫が必要です。
ツアー旅行を利用する場合には、観光スポットを短時間で転々とする観光主体のものよりも、ゆったりと時間を楽しむ滞在型のものを選ぶとよいでしょう。
車社会の現在では、旅行に限らず普段の生活においても妊婦が車に乗車する機会が増えています。
旅行の場合は、1時間乗車したら10分休むことを目安にしたらよいと思います。高速道路を利用する場合は、サービスエリアを利用しながら下車して体を動かすことを考えたらよいと思います。
妊婦とシートベルト装着の問題は重要です。シートベルトの正しい装着により交通事故時の母体/胎児の障害軽減が期待できます。着法としては、斜めベルトは両乳房の間を通し、腰ベルトは恥骨上に置き、いずれのベルトも妊娠子宮を横断しないことが重要です。
航空機を利用しての旅行では、妊娠週数により診断書、同意書の提出や医師の同伴を求められる場合があります。妊娠10ヶ月に入ってからは、診断書、同意書、医師の同伴などが必要なことがありますので、利用する航空会社への確認が必要です。国際線では、妊娠9ヶ月以降の搭乗を認めない航空会社もあります。
客室内の気圧は調整されていますが、巡航高度では標高2,000から2,500mの気圧と同等となっています。すなわち、富士山の5合目あたりの気圧となっています。また、空気中酸素濃度は地上の約75%となっています。胎盤機能不全などで低酸素症が胎児に影響を及ぼすと考えられる場合などは、搭乗を避けるべきです。
鉄道を利用しての旅行は、振動も少なく比較的安全と考えますが、重い手荷物を持っての乗換などは控える方がよいでしょう。

 

Q10.妊娠中に温泉に入れますか?
A.
温泉施設内の掲示板には、温泉の禁忌症として「妊娠中(特に初期と末期)」と掲示されています。
日本療養泉規定に基づく掲示ですが、環境庁自然保護局長通知の温泉の泉質別禁忌症にはどの泉質にも妊婦が禁忌の記載はありません。
温泉の成分が胎児や母体に悪影響を及ぼすとは考えられません。
家庭でもお風呂に入りますので、温泉に入ってはいけない理由はありません。
一般的な注意点として、長湯を避けて10分以内の入浴にする、感染を避けるため衛生管理の行きとどいた温泉を利用するなどの注意は必要です。

 

Q11.アルコールを飲んでいたので胎児への影響が心配です。
A.
妊娠以前よりお酒を飲んでいたとしても、アルコール依存症や多量の連日摂取でなければ胎児への大きな影響は無いと考えます。
アルコールは胎盤を通過します。胎児はアルコールを処理する能力が殆どないため、影響を強く受けます。
胎児性アルコール症候群として、胎児期より始まる発育障害と頭蓋、顔貌、手足、心臓血管の異常が認められます。
1日1杯程度の飲酒であれば影響はないという報告もありますが、医学的に飲酒量に対するエビデンスはありませんので、妊娠が分かった時点でお酒は控えた方がよいと考えます。

 

Q12.妊娠中にコーヒーや紅茶を飲んでも大丈夫ですか?
A.
カフェインを含むコーヒーや紅茶等を飲むことは、少量であれば妊娠中でも大丈夫です。
妊娠以前からコーヒー、紅茶を飲んで楽しんでいる方は多いと思いますし、気持ちを落ち着かせたりストレスを和らげる効果も期待できます。
しかしなから、カフェインは胎盤を通過して胎児に移行することも分かっています。
多量のカフェイン摂取で流産率が上昇したり、死産や新生児死亡の原因となる報告もあります。
多量の摂取は控えて、1日に1~2杯程度の摂取にした方がよいと考えます

 

Q13.便秘があるのですが、下剤は使えますか?
A.
妊娠初期はつわりで水分や繊維分が摂取にくいことや、妊娠を維持するために分泌される黄体ホルモンの作用で腸管の動きが悪くなり便秘になりやすくなります。
また、妊娠中期は増大した子宮が腸管を圧迫して腸の動きが悪くなり便秘になります。
妊娠中の便秘は、腸管の動きが悪くなり腸の内容物の停滞することにより水分が吸収されて便が硬くなる事による弛緩性便秘が殆どです。
先ずは規則正しい生活を送り、特に朝食を摂取して朝食後にトイレに行く習慣をつける事が重要です。
また、食生活で十分な水分や繊維分を摂ることも重要です。
野菜類、果物、海藻、コンニャクなどに食物繊維が多く含まれています。
生活習慣の改善でも便秘が続く場合には薬物治療を行います。
薬物としては、酸化マグネシウムが妊娠中に最もよく使われます。
マグネシウムイオンは腸壁から吸収されないため、体液と腸管内の水分が等張となるように水分が腸管内に保たれ腸の動きがよくなります。
また、習慣性がないために長期間連用することも可能です。
それでも無効な場合は、ラキソベロン液を併用することがあります。
薬剤によっては子宮収縮を誘発することもありますので、産婦人科医とよく相談して服用することが重要です。

 

Q14.ふくらはぎが痙攣を起こします。
A.
ふくらはぎの痙攣、いわゆる「こむら返り」が妊娠中はよく起こります。
原因としてカルシウムの不足やリンの過剰が考えれれていますが、増大した子宮の神経の圧迫や過剰な運動などが原因のこともあり、種々の要因が絡んでいます。
妊娠中期から後期の夜間就寝中によく発生します。
治療は運動中のこむら返りと同様で、足を伸ばしてつま先を頭の方向に引き上げてアキレス腱を伸ばすようにすると早く筋肉の痙攣が治まります。
また、痙攣を起こした筋肉部分をマッサージをしたり温めたりすることも有効です。
カルシウムの摂取は必要ですが、牛乳にはリンが含まれますので過剰な牛乳の摂取は好ましくありません。
就寝前にアキレス腱を伸ばす運動をしたり、長い靴下を着用してふくらはぎを温めることも有効です。
リンを含まないカルシウム剤の服用や、芍薬甘草湯などの漢方薬が有効なこともあります。
まれに静脈血栓症などが潜んでいる場合もありますので、ふくらはぎの強い痛みなどの場合は注意を要します。

 

Q15.妊娠中の食事制限で生まれてくる子のアトピーが予防できますか?
A.
最近、生まれてくる子供のアトピー予防対策として、妊娠中に牛乳や卵を摂取しない妊婦さんが見受けられます。
多くの研究から、妊婦自身や既に生まれている子供に植物アレルギーの指摘が無ければ、アトピーを予防する目的で妊娠中や授乳期に食事制限をすることは意味がないと考えられています。
妊娠中の母体の食事制限で生まれてくる子供のアトピーが予防できるエビデンスはありません。
根拠のない情報に基づく極度な食事制限をする事により、母体の栄養バランスを崩すことになり、胎児の発育不良につながる危険性も出てきます。

 

Q16.妊娠と食事について
A.
妊娠中に注意が必要な食中毒菌としてリステリア感染があります。
妊娠中は一般の人よりもリステリア菌に感染しやすくなり、赤ちゃんに影響がでることがあります。
リステリア菌は、食品を介して感染する食中毒菌で、塩分にも強く、冷蔵庫でも増殖します。
ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンなどがリステリア食中毒の主な原因食品となりますので、避けたほうがよいでしょう。
また、冷蔵庫を過信せず十分に加熱処理することが重要です。

魚は良質なたんぱく質や、血管障害の予防やアレルギー反応を抑制する作用があるDHA、EPAを多く含み、またカルシウムなどの摂取源でもあり、妊婦の栄養バランスのよい食事をとるためには欠かせない食材です。
ところが、魚には食物連鎖によって自然界に存在する水銀が取り込まれています。
魚の摂取により水銀が取り込まれ、胎児に影響を及ぼす可能性がありますので、魚の種類と量に気を付ける必要があります。具体的な種類と量に関しては、下記の厚生労働省魚に関する情報をご参照ください。

魚について(厚生労働省)

 

Q17.サイトメガロウイルス感染症について
A.
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症のテレビ報道があったこともあり、妊娠中の検査についての質問をよく受けるようになりました。
産婦人科診療ガイドラインでは、妊婦のCMV感染スクリーニング検査の有用性は、児障害程度の予測が困難、有効な胎児治療がない、ワクチンがない、感染児の殆どが症状が出ず治療法が決まっていないなどの理由で、結論が出ていないとされています。妊婦のCMV抗体スクリーニング検査の有用性は確立されていないとされており、標準的検査ではありません。したがって、当院では妊婦スクリーニング検査にCMV抗体検査は取り入れていません。
超音波検査で胎児発育不全、脳室拡大、小頭症、脳室周囲の高輝度エコー、腹水、肝脾腫などを認めた場合には、胎児感染を疑います。
CMVIgG抗体検査をして陰性の場合は妊娠中に感染を起こす可能性がありますので、感染予防の対象となります。ほとんどが乳幼児からの水平感染のため、手洗いの励行や乳幼児との接触を避けることで感染が予防できる可能性があります。

 

Q18.妊娠高血圧腎症について
A.
妊娠高血圧腎症の診断は、 妊娠20週以降に高血圧が出現し、分娩後12週までに正常な血圧に戻るもので、有意の蛋白尿を伴い、かつこれらの症状が単なる偶発合併症によるものでない場合になされます。
有意の蛋白尿は「尿中蛋白喪失量>0.3g/日」に相当し、高血圧は「収縮期血圧≧140mmHgもしくは拡張期血圧≧90mmHg」時に診断されます。
1)高血圧妊婦に試験紙法で蛋白尿≧1+が検出された場合
2)正常血圧妊婦に試験紙法で蛋白尿1+が連続2回あるいは、≧2+が検出された場合
は、随時尿中の蛋白とクレアチニンを定量し蛋白/クレアチニン比を求めるようにしています。
蛋白/クレアチニン比>0.27は24時間尿中蛋白量>0.3gに相当します。
妊娠高血圧腎症は胎盤機能不全、胎児機能不全、FGR/IUFD、早産、常位胎盤早期剥離、HELLP症候群、急性妊娠脂肪肝、子癇、DIC、急性腎不全など母児生命を危うくする重篤な合併症を併発しやすいため、診断がつくと入院管理が原則として必要です。

 

Q19.風しんについて
A.
妊娠初期に風しんにかかると、難聴、心疾患、白内障、あるいは精神や身体の発達の遅れなどの障害をもった赤ちゃんがうまれる可能性があります。これらの障害を先天性風しん症候群といいます。
先天性風しん症候群をなくすためには、風しんそのものをなくすしか手がありません。
しかしながら、風しんの抗体を持ってない成人がまだいますので、風しんの流行が各地で散発的に起こっているのが現実です。
従って先天性風しん症候群を予防するためには、妊婦さんが抗体を持っていることが重要です。妊娠中はワクチン接種ができませんので、妊娠する前に抗体検査を受け、必要があればワクチン接種を受けるようにしましょう。
また、風しん抗体価(HI法)が8倍、16倍の妊婦さんは、低抗体価のため先天性風しん症候群をきたす可能性があります。次回の妊娠時を考えれば、分娩終了後にワクチン接種して抗体価を上げることをお勧めします。
また、女性への感染経路の1位は夫から、2位は職場からのものです。男性からの感染が多いため、家庭内や職場での妊婦さんへの感染予防のためには、男性がワクチン接種を受けることも重要です。
広島市では妊娠を希望する女性や同居する男性に対して無料で風しん抗体検査を行っていますので、このような制度も活用しましょう。

風しんの感染予防の普及・啓発事業(厚生労働省)

風しん抗体検査(広島市)

 

Q20.子宮底長・腹囲測定について
A.
母子手帳には、子宮底長と腹囲を記載するようになっています。
これは胎児の発育状況等を確認するために昔からとられている方法ですが、現在では胎児発育の確認には超音波検査にて胎児推定体重を計測して正確に把握しています。
従って当院では子宮底長・腹囲測定は計測せず、母子手帳の記載欄は空白のままとしています。
産婦人科診療ガイドライン産科編2017においても、「超音波検査を実施した場合、子宮底長測定は省略できる。腹囲測定はその有用性が不明なので省略可能である。」と記載されています。

 

 

 

 

婦人科に関する質問

       
   

 

Q1.乳がん検診にマンモグラフィが必要な理由は?
A.
2004年より、市民健診では視触診に加えてマンモグラフィを施行するようになりました。
対象は、40歳以上となっています。
有効性評価の結果から、乳がん検診ではマンモグラフィを併用することが推奨されます。
2年に1回の検診でも毎年検診を受けた場合と同じ有効性が示されており、2年に1回の検診をお願いしています。
マンモグラフィによる放射線被爆はほんのわずかで、東京からニューヨーク間の飛行機の中で受ける宇宙からの自然の放射線量の約半分です。
この危険性は、飛行機での160kmの旅行、自動車での24kmの旅行、タバコ1/4本の喫煙と同等の危険率で極めて低いものです。
当院ではマンモグラフィ検診は随時いつでもできますので、ご希望の方はお申し付けください。

 

Q2.子宮がん検診が20歳から必要な理由は?
A.
2004年から子宮頸がん検診の対象が20歳以上となりました。
検診間隔は2年に1回となっています。
子宮頸がん検診は非常に有効で、科学的に進行がんを防ぎ死亡を減らす効果が証明されています。
以前は毎年の検診を行っていましたが、検診間隔を延ばして2~3年に1回の検診でも有効であるデータが多く出ています。
検診結果が3回連続して異常を認めない場合には、3年に1回としている国もあります。
月経のある方は、正しい判定のために月経終了後3~7日の間に検診を受けるのが理想です。
しかしながら検診を受ける機会を逃さないために、仕事などで都合がつかない場合は月経中でも構いません。
子宮頸がんの原因としてHPV(ヒトパピローマウィルス)が関与していることが分かってきました。
このウィルス感染は、性交によって起こることも分かっています。
現在では、わが国でもHPVワクチン接種が可能となりました。
HPV感染を予防することができれば、子宮頸がんは激減することが予測されています。
早期発見のためには性経験のある年齢から子宮がん検診受診が必要です。
性経験のある女性は、年齢にこだわらず子宮がん検診を受けることが必要です。

 

Q3.子宮頸がんについて教えてください。
A.
子宮癌には、子宮頸がんと子宮体がんがあります
子宮頸がんは、子宮と膣の境目の部分すなわち子宮の入り口(赤ちゃんの出口)にできるがんです。
婦人科がんの中で最も多いのが、子宮頸がんです。
発症には、HPVウイルス感染が関与していることが分かってきています。
病理組織学的には、扁平上皮がんが最も多く、次に腺がん、その他と続きます。
子宮頸がんは30歳から40歳代が多く、前がん病変と早期がんは20歳から30歳代に多いため、Q2.で示したように子宮がん検診の対象者は20歳からとなっています。
初期の子宮頸がんでは自覚症状がないため、検診により発見することが多いがんです。
がんが進行するに従い、性交時出血、帯下の異常がみられるようになり、さらに進行すると悪臭のある膿血性帯下、不正性器出血、下腹痛などが出てきます。

 

Q4.子宮体がんについて教えてください。
A.
子宮体がんは、子宮内の赤ちゃんが育つ空間を覆っている子宮内膜から発生します。
子宮頚がんはHPVウイルスが原因ですが、子宮体がんはウイルスには関係なくエストロゲン(女性ホルモン)の関与が主として原因となります。
集団検診などの一般的な子宮がん検診では、子宮体がん検診は含まれていないことが多いです。
子宮がん検診を受けたら、子宮頚がんも子宮体がんも異常ないものだと誤解しないように注意が必要です。
子宮体がんの場合は、ごく初期の段階から不正出血があることが多いのが特徴です。
不正出血があってから検診を受けても初期の段階で発見されることが多いので、不正出血があれば必ず子宮体がんの検診を受けることが重要です。

 

Q5.子宮肉腫について教えてください。
A.
子宮体部にできる悪性腫瘍に、がんの他に肉腫があります。
子宮肉腫は婦人科悪性腫瘍の中で非常にまれで、子宮体がんの2~5%です。
子宮頚部にできることもありますが、ほとんどは子宮体部の子宮の筋肉から発生します。
子宮の筋肉から発生する良性疾患として子宮筋腫がありますが、子宮筋腫と子宮肉腫の区別が非常に難しいことがあります。
急速な子宮の増大、とくに閉経後に増大する場合は子宮肉腫を疑います。
症状としては特別なものはありませんが、不正性器出血、腹痛、下腹部の違和感などがあります。

 

Q6.ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)について
A.
ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)は、子宮内リングの一つです。
ミレーナには器具本体にノボノルゲストレルという黄体ホルモンが添加されており、その作用で子宮内膜が薄くなります。
月経は子宮内膜が剥がれ落ちて起こる現象ですので、薄くなった内膜がはがれて月経になるために月経の量が随分少なくなり、月経痛を軽減する効果があります。
この効果が認められ、2014年9月に薬価基準収載され保険適応となりました。
鎮痛剤が効かないほどの月経痛で悩んでいる方や、月経のたびに大出血して貧血を繰り返す、夜用ナプキンでも間に合わないぐらいの月経血量があるなどの過多月経でお悩みの方には、非常に良い治療法だと考えます。
今まではLH-RH誘導体やLEP(低用量ピル)にて過多月経の治療を行っていましたが、LH-RH誘導体では強力にエストロゲンを抑制するため更年期症状や骨粗しょう症になる、LEP(低用量ピル)では血栓症の重篤な副作用を起こす可能性がありました。
ミレーナではこれらの副作用がないため、特に血栓症の心配で治療が受けられなかった方には非常に有効な治療法です。
また、ピルのように毎日服用する煩わしさもありません。
挿入後5年間は治療効果がありますので、5年毎の入れ替えで治療ができます。
薬価は26,984.30円で約27,000円となっています。
保険適応であれば3割負担となりますので器具代だけで自己負担は約8,100円、それで5年間有効ですので1年間で約1,600円の費用で済みます。
保険適応があるかどうかは主治医の判断となります。
月経の量が多くて困っている方は、ご相談ください。

ミレーナ(バイエル薬品株式会社)

 

Q7.子宮内膜増殖症について
A.
子宮内膜増殖症は、子宮体癌取扱い規約による定義では「子宮内膜腺の過剰増殖」とされています。
子宮内膜増殖症は、上皮細胞の細胞異型の有無や腺構造の異常の程度により、1)単純型子宮内膜増殖症、2)複雑型子宮内膜増殖症、3)単純型子宮内膜異型増殖症、4)複雑型子宮内膜異型増殖症の4つに分類されます。
この中には自然に正常子宮内膜に戻るものもありますが、子宮体癌に進行するものもありますので慎重な取扱いが必要です。
子宮体癌への進展率は、細胞異型を伴わない子宮内膜増殖症からは1~3%と低いのですが、複雑型子宮内膜異型増殖症からは20~30%と報告されています。
従って、細胞異型を伴わない子宮内膜増殖症では3ヶ月ごとの細胞診ならびに組織診による経過観察が基本ですが、子宮内膜異型増殖症においては積極的な治療が必要と考えます。
子宮体癌に進展する確率の高い異型内膜増殖症においては、子宮全摘出術が最も確実な治療法です。
今後の妊娠を希望される方には、高用量の黄体ホルモン療法により子宮を温存し妊娠可能な例もあります。高用量黄体ホルモンが有効でも、その後の再発や子宮体癌に進行する例もあり子宮を温存した場合は十分に注意をしながら経過観察する必要があります。
また、子宮内膜増殖症の診断で子宮全摘出を行い、術後の病理組織検査で子宮体癌と診断される例が約40%あるとの報告もあります。
術前に診断不可能な子宮体癌を合併している子宮内膜増殖症もあることより、特に異型子宮内膜増殖症で子宮温存の必要性がない場合は、子宮全摘出術を勧めることは妥当と考えます。
異型子宮内膜増殖症と診断され今後妊娠する希望のない場合は、子宮全摘出術を考慮された方がよいと考えます。

 

Q8.CIN1/2(軽度/中等度異形成)について
A.
CINとはCervical Intraepithelial Neoplasiaの略で、子宮頚部上皮内腫瘍のことです。
組織診により、CIN1(軽度異形成)、CIN2(中等度異形成)、CIN3(高度異形成)の3段階に分けます。
CIN1(軽度異形成)がCIN2(中等度異形成)以上の高度病変に進展する可能性は15%程度です。
CIN1の殆どは自然消失し、特に30歳未満では約90%で消失します。
CIN1では、原則として治療の必要はなく定期検診でよろしいです。
CIN2(中等度異形成)がCIN3(高度異形成)以上の高度病変に進展する可能性は25%程度です。
CIN2においても、30歳未満や妊婦では消失することが多いとされています。
CIN2でも原則として治療の必要はなく、定期検診で可です。
定期検診は、3~6カ月毎の細胞診を行います。
CIN2では、原則としてコルポスコピーを併用し慎重な経過観察が必要です。

 

Q9.子宮頸部細胞診結果について
A.
以前は子宮がん検診の結果をクラス分類で、クラス1・2は良性、クラス3は良性と悪性の間、クラス4・5は悪性として数字の1~5までで表していました。
最近はこのクラス分類での結果表示を行わず、ベセスダシステムで報告するようになっています。
ベセスダシステムでは、以下のように略語で結果報告となります。
NILMの結果であれば異状なし、それ以外の結果は何らかの精密検査を要すると理解してください。

略語 推定病変 運用
NILM 非腫瘍性所見、炎症 定期検査
ASC-US 軽度扁平上皮内病変の疑い HPV検査
ASC-H 高度扁平上皮内病変の疑い コルポ・生検
LSIL HPV感染、軽度異形成 コルポ・生検
HSIL 中等度異形成、高度異形成、上皮内癌 コルポ・生検
SCC 扁平上皮癌 コルポ・生検

その他に腺細胞系の結果表示もありますが、特殊なため記載は控えます。

 

Q10.ヤーズフレックス錠について
A.
月経困難症・過多月経の治療として、LEP(低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤)を使用しています。これらの薬剤は4週間に1度に消退出血(月経のような出血)を起こす方法となっています。
2017年4月に、ヤーズフレックス配合錠が使用可能となりました。
この薬剤は成分は今までのヤーズ配合錠と全く同じですが、120日間連続して服用可能な薬剤です。もちろん薬価基準収載医薬品で、保険診療可能な薬剤です。
120日間連続服用中は出血が起こらず、1年間に3回ほど消退出血(月経のような出血)が起こることとなります。
毎月の排卵後に子宮内膜が肥厚して妊娠の準備がおき、妊娠成立がないと内膜が剥がれて月経が来ます。そして翌月に再度妊娠の準備をおこし、妊娠成立が無ければ再度月経を起こすことを繰り返しています。妊娠の希望が無ければ、わざわざ毎月妊娠の準備をおこして辛い月経を迎える必要はありません。
従って妊娠の希望が無く月経時に起こる下腹痛・腰痛・疲労感・イライラ・抑うつ症状などで悩んでいる方は、毎月の出血を避ける方法もよいと考えます。

ヤーズフレックス配合錠(バイエル薬品株式会社)

 

 

 

内科に関する質問

       
 

 

Q1.ノロウィルス感染症について教えてください。
A.
寒くなる11月頃よりノロウィルスによる嘔吐・下痢症が流行ります。
症状は、感染後24~48時間の潜伏期間をおいて吐き気、嘔吐、下痢、腹痛が起こります。
発熱は軽度です。通常は1~2日症状が続いた後に、自然に治癒します。
治療法は、残念ながら特効薬はありません。
嘔吐・下痢のため脱水となりますので、電解質を含む十分な水分摂取が必要です。
経口摂取が困難な場合は、点滴にて脱水を改善します。
薬物療法としては、吐き気止めや整腸剤が使われます。
ノロウィルスは感染力が強く、感染しても免疫を獲得しにくため同じシーズンでも何度でも感染することがあります。
ノロウィルスは、10~100個程度のわすかなウィルス量で感染する力を持っています。
感染者の嘔吐物1gの中に100万個以上、糞便1gの中に1億個以上のウィルスがいますので、これらを介して大規模な集団感染を起こすことがあります。
従って、糞便や嘔吐の処理には慎重な対処が必要です。
糞便や嘔吐物が乾燥するとウィルスが空気中に拡散し感染の拡大を起こしますので、先ずは速やかな処理が必要です。
消毒には、塩素系消毒剤の次亜塩素酸ナトリウムが有効で、濃度が200ppmで5分間、1000ppmで1分間でウィルスを死滅するとされています。
処理法は以下のとおりです。
1)使い捨ての手袋とマスクを使用し、使用後は必ず廃棄します。
2)糞便や嘔吐物の上にペーパータオル等で覆いウィルスの拡散を防ぎます。覆ったタオルを1000ppm濃度の次亜塩素酸ナトリウムで浸し、5~10分放置します。
3)その後、タオルで拭き取ります。外側から内側に拭き取り汚染面積を拡げないようにします。
4)拭き取った後の部分は、200ppm濃度の次亜塩素酸ナトリウムで浸すようにさらに拭き取り、最後に水ぶきをします。
カーペットなどの色落ちが困るものは、95度で1分間のアイロンがけをします。
5)処理に使用したものは、すべてビニール袋に入れてその中にも1000ppm濃度の次亜塩素酸ナトリウムを入れます。
6)その後、十分な石鹸水で時間をかけて手洗いをします。
7)最後に部屋の空気を外に出すように換気をします。
感染経路としては、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気感染があります。
飛沫感染や空気感染予防のためには、上記の糞便・嘔吐物の処理に注意を要します。
経口感染、接触感染予防には、手指の消毒や汚染物の消毒が必要です。
ノロウィルスは、85度以上で1分以上の加熱で死滅するとされています。
二枚貝などの食品は、中心部まで1分以上しっかり加熱することが必要です。
また、下痢・嘔吐の症状が治った後も1週~1ヶ月間ウィルスを排泄していることがありますので、 症状消失後も十分な手洗いなどの注意が必要です。
次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方は、原液を希釈します。
原液には、約5%のものと約10%のものがあります。
市販されている家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)は約5%です。
5%原液による消毒液の作り方は、
1)糞便や嘔吐物による汚れがひどい場合:100ml
2)糞便や嘔吐物が付着の場合:20ml
3)衣類や器具の浸けおき:10ml
4)トイレの便座、ドアノブ、手すり、床など:4ml
を約1,000ml(1リットル)の水に入れればよいです。
消毒液の注意事項は、以下のとおりです。
1)消毒液作成時には、塩素ガスが発生しますので換気に気をつけてください。
2)皮膚や粘膜への刺激が強いため、手洗いには使わないでください。消毒液が皮膚や衣類に付着した場合は、直ちに水洗いしてください。
3)金属に対しては腐食性があるため、金属の消毒後は水洗いするか拭き取るようにしてください。
4)漂泊作用のため色が変色することがありますので、床などの変色に気をつけてください。
5)効果が薄れるので、作り置きをしないでください。
塩素は日光により分解しますので、原液は直射日光や高温を避けて保存してください。

 

Q2.膀胱炎について
A.
膀胱炎は小児から老齢者までよく見られ、泌尿器科・内科・小児科・婦人科など様々な科を受診されることが多い病気です。
特に女性では,、尿道口(尿の出口)から膀胱までの距離が短かく、細菌が膀胱に入りやすい解剖学的特徴があるため多く発症します。
急性膀胱炎の三大症状として、 1)排尿痛 2)頻尿 3)混濁尿が挙げられます。
その他の症状としては、残尿感、血尿、下腹部不快感、下腹部痛、尿漏れなどがあります。
尿検査により尿中の白血球、赤血球、細菌を確認することで、診断ができます。
適切な抗菌剤(抗生物質や合成抗菌剤)の服用で比較的簡単に治癒しますが、近年では薬剤耐性菌による膀胱炎のため治療が困難なこともあります。
また、十分な水分摂取で利尿をつけることにより膀胱内に繁殖の細菌を洗い流す効果があり、炎症の進行を止める効果もあります。トイレを我慢すると膀胱内に侵入した細菌が繁殖しやすくなりますので、排尿を我慢しないことも大切です。

 

Q3.過活動膀胱について
A.
トイレが近い症状がある場合、Q2.で述べたように膀胱炎が原因のこともありますが、過活動膀胱という病気の場合があります。
過活動膀胱とは、文字通り膀胱の働きが活動し過ぎる状態をいいます。
即ち、膀胱内にあまり尿が溜まっていないにも関わらず膀胱の機能が活動しすぎて急に尿意を催し頻尿になる状態です。
日本排尿機能医学会の過活動膀胱診療ガイドラインで、診断のために以下の表が示されています。

質問 症状 点数 頻度
朝起きた時から寝るときまでに、何回くらい尿をしましたか 0 7回以下
    1 8~14回
    2 15回以上
夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか 0 0回
    1 1回
    2 2回
    3 3回
急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたが 0 なし
    1 週に1回より少ない
    2 週に1回以上
    3 1日1回くらい
    4 1日2~4回
    5 1日5回以上
急に尿がしたくなり、我慢できずに尿をもらすことがありましたか 0 なし
    1 週に1回より少ない
    2 週に1回以上
    3 1日1回くらい
    4 1日2~4回
    5 1日5回以上
  合計点数  

質問3が2点以上で全体の合計点数が3点以上の場合、過活動膀胱の可能性があります。
合計点数が5点以下は軽症、6~11点は中等症、12点以上は重症と考えれれます。
日常生活の注意点としては、水分摂取量を少し減らす、排尿の回数を減らし尿意を少し我慢する、骨盤底筋の体操をするなどがあります。
薬物療法としては、抗コリン剤により排尿筋を調節する神経を調整し膀胱の過剰な収縮を抑制する方法があります。